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 いまだ未完の「修理固成」に参画せよ
        (世界戦略情報「みち」平成16年(2664)6月15日第186号)

●本号より三橋稿にて「オホニアヘマツリ考」がはじまった。おそらくは、ほとんどの人が「オホニアヘマツリ」すなわち大嘗祭と聞けば、天皇陛下の即位式と考えるに違いない。確かに、新たに即位された天皇が行なわれる一世一代の重要な儀式ではあるが、大嘗祭は単なる即位式ではない。そこには、即位式に止まらない深い意味が秘められている。その詳細は三橋稿によって追々明らかにされるはずである。
 ただ、連載の開始に際し、ここに付言しておきたいことが一つある。それは、大嘗祭が神国日本の神国たる所以を為す根本の行事だという点である。いま本誌がなにゆえ大嘗祭を採り上げるにいたったのか、それもまた、この一点に帰する。
●大嘗祭の真の意義について、われわれに気づかせて下さったのは、五年前の平成一一年一二月三一日、西紀二〇〇〇年が始まる前夜に帰幽、いまは亡き神道家の相曾(あいそ)誠治(せいじ)氏である。先々号で小園安名大佐との親交を紹介し、この二人が先の大東亜戦争中およびその末期に果たした特異な役割に些かの思いを致したが、その後さらに相曾氏の著作二冊を読み返すにつけ、これは只事ではないとの思いをますます強くしている。相曾氏の著作とはいずれも山雅房(電話〇四八・二九六・六九三八)から刊行されている次の二冊である。

   『超古神道Ⅰ サニワと大祓詞の神髄』
   『超古神道Ⅱ 言霊と太陽信仰の神髄』


 相曾氏の説くところは、まさに前人未踏の境地を一人往くの感があり、瞠目すべき数々の卓見がちりばめられている。
●相曾氏の説く貴重な教えの中で、もっとも重要と思われるのが、大嘗祭の意義についての指摘である。新たに即位された天皇陛下により厳修されるこの神事は、相曾氏によれば「全人類を念頭に置いた地球規模の大祭儀」(『超古神道Ⅱ一四頁』)なのである。
 つまり、宇宙創生の初発の時に誕生した別天神と天神によって伊邪那岐命と伊邪那美命とに委嘱された「是(こ)のただよへる國を修理(つくり)固(かため)成(な)せ」という御神命を、歴代の天皇が脈々と継承しておられることを意味する。
 この大祭儀は、わが日本列島の安寧のみならず地球や太陽系天体の運行におよび、さらには大宇宙の動きに関わっている。
 ユダヤ人の伝承「創世記」に擬えていえば、天地創造はいまだ完成しておらず、その完成のため、日本の歴代の天皇陛下が一世一代の大祭儀である大嘗祭を中心に天地創造の神業を行なっておられるのである。
●相曾氏はこう言っている。

 伊邪那岐命、伊邪那美命が天津神や別天津神々から授けられた御神命は、「このただよえる国を修理固成(つくりかため)なせ」というものでしたが、まだ終わっていません。修理固成(しゅうりこせい)を完成させることが日本の神々、日本民族の天命です。これを果たすまでは使命が終わりません。世界の歴史もその御神命を中心に展開していくはずです。一日本人の問題、一ユダヤ人の問題では済まされません。そこに目覚めるように持っていくしかありません。
(同書四三〇頁)

●わが日本列島の上空一〇キロメートル位のところに神々の集まる神界がいくつもあって、神々は日本を見守って下さっていると相曾氏は断言する。すなわち高千穂神界、出雲神界、伊勢神界、富士神界などである。

 富士山の上空、十キロメートルくらいの所に富士神界というものがありまして、ときどき神々がお集まりになって日本のことを協議されます。たまにその様子を拝見させていただくことがあります。特に皇室の先祖神は非常に日本を御心配になっておられます。
 神界の最高の神々は天変地異で日本を太平洋に沈没させるようなことはいたしません。この点だけはぜひ、お心に留めておいていただきたいと思います。(同一三四頁)

 神々の見守り給うこの神国日本、その日本に生まれ、神々に見守られ神々とともに生きるわれわれは、いまだ未完の「修理固成」にそれぞれ参画する使命を負っている。

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